5月1日

明け方、テントをたたく雨の音で目がさめた。かなり激しく降っている。
今日は雨かあーーー。予想していたとは言え残念。
で、テントの中はと言うと、こんな感じです。

  

幸い雨水は侵入していないようですが、壁際のあたりは結露しているみたいでちょっと濡れてました。
そう言えば、このテント、もうすぐ20周年。新入社員の頃、ナケナシの給料はたいて買った大事なテントですが、
まだまだ現役で頑張ってます。私もすでに20年選手。そろそろ肩をトンっとたたかれそうな年代に突入です。
お互い頑張ろうな!!

朝飯を食べるついでに、昨日のリザルトが貼られているので見に行きます。
すると、おおっ、なぜか前日の63位から51位と順位が上がっているじゃないですか!
SSでコケたのになんで順位が上がっているんだろう・・・? ニコニコ。
しかもっ! あの#1菅原さんとは2秒差。嬉しいなあ。

スタート時刻の8時となり、エントラントたちは雨が降る中を次々に出発して行きます。
ルートもCP1まではオールターマックの観光ルート。四国南西部の海岸の風景が楽しめる素晴らしいルートのはずですが、この雨やんでくれるかな・・・?

スタートは、菅原さんのすぐ後ろ。菅原さんと軽く二言三言言葉を交わします。
「ラフローのこのバイザーいいよねえ」
菅原さんも同じラフローのバイザー持っているんだそうです。

しかし、さりげない会話の中、
実は虎視眈々と菅原さんのバイクに「林道戦隊」ステッカーを貼るタイイングを伺かっていたのですが、さすがに菅原さん、スキがなくて、なかなか貼るチャンスがありません。
そうこうする内に菅原さんスタートしてしまいました・・・。最大の獲物を逃してしまいました。

初恋の相手に告白するタイミングを失したような(?)そんな寂しさが残るのでありました。

スタートしてすぐ、狭い舗装林道を登って行きますが、体が火照っているので、ヘルメットのシールドの内側が水蒸気ですぐに曇ってしまいます。
シールドを開けて空気を取り入れますが、外気も湿気たっぷりなので、なかなか曇りが取れません。
林道を登り切った、11.77km地点の駐車場の軒下で早速雨宿り。シールドをテッシュで拭きます。
周囲を見渡すと、同じ所で#43熊谷さんも雨宿りしてました。
で、熊谷さん、何やらバイクの配線をごそごそ触っています。
「どうしたんですか?」と聞くと、
雨でサイクルメーターの手元スイッチ部分に浸水して、サイクルメーターが壊れてしまったとのこと。

「ほれほれ」電子基板を取り出して嬉しそうに見せてくれます(笑)。
この雨の中での電子部品の修理は一大事ですが、どことなく楽しそうに見える熊谷さんでした。

10分程休んだ後、先に出発。
まあ、XRならメインメーターがあれば問題なく走れるでしょうし、たぶん大丈夫でしょう。

駐車場を出ると、高原を走る広い舗装路となります。雨の中でも結構気持ちがいい道です。バイザーの曇りも取れ、快調に距離を刻む内に、
やがて道は足摺岬方面へと向かう道となり、最後に長いトンネルを抜けて海沿いの道を少し走るとCP1に到着です。
しかし、本当のCPはここではなく、ちょっと歩いて登らないといけないんです。

雨の中、ヘルメットをかぶったまま、駐車場横の階段を登っていくと、既にCPチェックを済ませたエントラントが上から降りてくる。
 「お疲れ様。まだまだだよー」
少し登るとまた別のエントラントとすれ違う。
 「いやーご苦労、ご苦労。まだまだ先だよー」
また少し登るとまた・・・

という具合で、なかなかCPは現れません。
標高差にして50m位登ったでしょうか。断崖絶壁の上に、ようやくCPが現れました。
で、CPで待っていたのは、芦別の斉木校長先生(笑)
チェックカードにスタンプを押して貰います。
海の方を覗きに行くと数百mはあろうかというものすごいガケです。

いやー、それにしてもこの風雨の中、こんな所でのCP開設ご苦労様です!

さて、登りはシンドイけれど、下りはラクチン。
今度は、登ってくるエントラントに、 「ご苦労様、まだまだだよー」と言う番です。
このチェックポイントは足摺岬ではなかったようですが、なかなかの絶景ポイントでした。天気のいい時にまた来てみたいですね。

公式道草のCP1から出発の直後、97.81kmの地点でちょっと道に迷ってしまいました。
ここも迷っているエントラントが多かったみたいですね。
次々と対向バイクに会いますが、皆首をひねっています。
結局、2往復位して、ようやくルート発見。
30分位損しちゃったかなあ・・・?

で、CP2までの距離を確認すると、最悪150km位ある。
道に迷ったせいもあって、時間的にかなり苦しい状態。
この時点で、昼飯抜き休憩なしで走る覚悟を固めました
幸い、背中にキャメルバック(もどき)も背負っているので、水分補給は休まなくてもOK。やっぱり今回キャメルバック(もどき)を持って来て良かったなあと実感です。

その先暫くの間は、海沿いの寒村を巡る細い道が続きます。
その内に、1台のバイクに追いつきました。良く見ると僕と同じ緑のシェルパ。#29中尾さんです。暫くの間、2台のシェルパで連れ立って走りますが、しかし、中尾さん、走り疲れたのか、道端に東屋が現れると一休み。
あまり時間もないので、僕はそのまま走り去ります。
(その時、中尾さんは実は重大な問題を抱えていたのですが、この時はそんなことは知る由もありませんでした・・・。
 このナゾの休憩の真相については後で明らかになります)

さて、相変わらず雨の四国です。
道は広い二車線舗装路が中心。快調に距離を稼ぎます。で、222.46km地点の林道に入ったのが14時過ぎでした。
CP2の開設時間は15時迄なので、ちょっと心細いことになって来ました。250km地点だとすると、平均時速30kmで走らないといけません。
こりゃあペースを上げなきゃ・・・。
ブラインドコーナー以外ではスピードを上げ、準SSのような感じで走りますが、行けども、行けどもCPはなかなか現れません。
SSERのCPは峠にあることが多いので、ここも、やっぱり峠の所かなあ・・・とCPの場所を推測してみます。
そして、谷を登りきった所で峠に出ましたが、ここにもCPはありません。ひょっとして、道が違う・・・?
一度止まってちょっとルート確認しますが、問題ない。これで良さそうです。
CPはどこだ、どこなんだー! 先を急ぎます。

そして、235.27kmの地点でようやくCPが現れました。
時刻は14時40分。クローズの20分前でした。250km地点だったら、たぶん間に合わなかったでしょうが、少し手前でラッキーでした。

間に合った〜〜!!

チェックカードにスタンプを押して貰います。
このCP通過、嬉しかったですねー。昼飯食ってたら、間に合わなかった可能性大。昼飯抜いて良かったなあ・・・。
(後でリザルトを見て知ったのですが、このCP、何と不通過が19台!
 しかも、僕の20分後方(即ち、ギリギリのあたり)では、CP通過を目指して大SS大会が繰り広げられ、
 3時ちょうどに、大量のバイクが滑り込みセーフ!! だったんだそうです)

雨も小降りになって来て、何となくちょっと回復傾向。
297km地点のGSで燃料を補給し、トイレも済ませます。そして、さあ、これからが今日の本番です。

道は四国カルストの高みへと登って行きます。四国カルストは石灰岩の台地ですが、今日は霧で包まれていて何も見えません。視界は10m位。
しかも標高が高いので、しんしんと冷えてきました。ヘルメットのシールドが曇って見えなくなって来たので、ロッジみたいな建物の屋根の下で震えながらシールドを拭きますが、走り始めるとすぐにまたシールドが曇ってしまいます。シールドを手で拭いながら、路面のペイントだけを頼りに時速20〜30kmで進みました。
四国カルストを下りた自販機の所で、さすがに腹が減って来たので遅い昼食。

エマージェンシーアンパンを食べます。

やっぱり、腹が減った時はアンパンに限ります。
うまかったなあ、あのアンパン・・・

さて、この先はSSが2つ。今日はどんなSSが我々を待ち受けているのでしょうか?
雨も降っているのでお手柔らかに願いたいものです。

SS5には、まだ少し日がある内に入ることができました。
フラットでスピードが乗る林道。カーブではゆっくり、そして直線ではアクセルをワイドオープン!!
うーん、これは気持ちいいです。快調に走っていきます。
すると、出発して半分を少し過ぎたあたりで、1台のバイクに追いついたので、良く見ると、おおっ、#1菅原さんだ
抜くタイミングを計りますが、林道でバイクを抜くことなんてなかなか経験が少ないですし、相手は世界の菅原さんです。
追突なんかしたら大変。暫く後ろをついて走っていました。

その内に比較的広い左カーブにさしかかったあたりで菅原さんの方から道をゆずって下さいました。
右端によって、左から抜けとウィンカーでの合図です。
「ありがとうございます〜!!」 抜いた後で、軽く手を上げて感謝。
その後もアクセルワイドオープン。直線命で走り抜け、SS5も無事に無転倒完走

「あの世界の菅原をブチ抜いてやったぜ」
このバトル(?)は孫子の代まで自慢できることでしょう。
  ↑
あっ、冗談です!!冗談!!ウソです!!
菅原さん、抜かせて頂いてありがとうございました!!

さて、日もとっぷりと暮れた頃、最終のSS6へと向かう道にさしかかりました。
そして、道の途中には、「久万オートランド」の標識があちこちにあります。
これは、SS6はひょっとして雨のモトクロスコース?
そんなことを考えながら真っ暗なダートを登って行きます。
心なしか心臓がドキドキしてきますが、

SSはこちらから歩いて行かなくても、あっちからやって来ます。

とうとう、SS6のスタート地点へ到着してしまいました。
しかも、先ほど迄は小降りだった雨が一段と激しく降って来ました。まさしく豪雨です。
いやーこりゃ大変だ。TDN1stの高知の再現か・・・?ちょっとブルーな気分ですが。
しかし、ブルーになろうが赤くなろうが、SSは容赦なくスタートです。
そのまま、激しく雨が降る中、SSへ突入しました。

スタートしてみると、5km弱のSSは、モトクロスコースではなく、林道でした。ちょっとほっとしますが、
路面は結構荒れており、石がたくさん転がっている状況です。
しかも、シールドは中も外も曇ってしまって一寸先が五里霧中の状態
さらに、このSS、ナビゲーションも必要です。
左手でクラッチを握ってシフトチェンジした後、左手でシールドを拭い視界を確保。さらに左手でコマ図を手で巻き、左手でICOの距離を補正・・・。

メンタンピン三色ドラドラのハネ満状態です。

悪条件が重なりましたが、SS6も、何とか無事に無転倒完走
途中、一箇所違う分岐点の方に迷い込みそうになりましたが、幸いすぐに気付いてUターン。
いやーあの状況の中、道に迷わなくて良かったです。

さて、SS6を抜けた後は、寂しい林道を一人でトボトボ走ります。しかし、この林道、何と言うかちょっと背筋が寒いんです
参加された皆さんはどうでしたかー?
いや、決して雨に濡れているから寒いという訳ではないんですよ・・・。

で、ビクビクしながら走っていると、いきなりシェルパにトラブル発生です。
下りのカーブ手前で何気なくクラッチを切ると、エンジンがストンとエンスト

ひえ〜〜〜〜。

思わず、ヘルメットの中の顔が金縛り状態に・・・。
でも、エンストしても、セルを回すとすぐにエンジン復活です。
なるべくバックミラーは見ないようにして、速やかにその場を立ち去ります。
そんなことが3〜4回繰り返されたでしょうか。

その内に民家のある所に降りて来ると、なぜかエンジンストップの怪も解消しました。
その内に雨も弱くなって来たので、自動販売機で明日飲むスポーツドリンクを仕入れてゴールへと向かいます。

ゴール地点は、山の家のような所でした。
まぶしいライトに照らされたゴール地点では、既に多くのエントラントが懸命にバイクの整備をしています。

ゴールでオフィシャルにチェックカードを渡した後、オフィシャルさんに「今日のビバークは?」と聞くと、「この山荘」とのお答え。
おおっ、今日は屋根があるのかあ!!
そりゃ嬉しいなあ・・・。思わずオフィシャルさんに感謝してしまいました(笑)。

今日は、一日中雨の中を走ったので、早速、チェーンにオイルを注入します。で、今日の整備終了(笑)
こんな簡単な整備でいいんか?ラリーをなめているんじゃないのか?などという厳しいご意見が出そうなので、
ちょっとリアタイヤの状況もチェックしてみます。
すると、何とリアタイヤは既に5部山です。
D603、4000km位は持つと踏んでいたのですが、予想以上に消耗が早いようです。
やはりSSや林道が多いからなんでしょうか・・・。
でも、何とかまだ交換しないでも走れそうなので、とりあえずは交換しないでそのままです。
到着しているバイクの台数を数えると、まだ20台位でしょうか。今日は結構早い方だったみたいで、
まだ帰ってきていないエントラントが多いみたいでした。

水をたっぷり含んだグローブを絞り、水の滴るカッパを脱ぎ、ヘルメットの水滴を手ぬぐいで拭い、水でズボズボのブーツを脱ぎ、雨用のインナーシューズを絞り・・・。30分位かけてウェアの水分を拭き終わり、ようやく部屋に入ります。
部屋に入って着替えを完了すると、さすがにくつろいだ気分になりますね。

その内に帰って来られた、#29中尾@シェルパさんと二人で晩飯へ。
食堂に行ってみると、今日は鍋なので、4人一組でとのことです。
中尾さんと二人で残りのメンバーが揃うのを待ちますが、なかなか来ないので、先に鍋に火をつけてビールを飲み始めました。
この雰囲気、何となく、フリー雀荘でメンバーを待ってる状態に似てますねえ。
で、暫く待つ内に、無事、カモ2人がネギしょって到着。

ようやく4人揃ったので、早速じゃらじゃらとパイをかき混ぜて・・・
じゃなかった、ネタをドボドボと鍋に放り込んで、本格的に晩飯開始と相成りました。
ビールも飲んで、いやー極楽、極楽。
何度も繰り返しますが、屋根があるっていいですねえ(笑)

さて、この日だったか、後日だったか、あまり自信ないのですが、
中尾さんに、「CP1の後、暫く一緒に走りましたよねー?」と話しかけてみると、中尾さんから驚愕の事実が・・・。
実は、あの時、中尾さんは、
マップケースに浸水して、マップがボロボロに破れ、さらには、
メーターが壊れて距離が分からない状態に・・・
という二重苦を抱えながら走っていたんだそうです。

破れてしまったマップは1ページずつケースにセット
1ページが終わるとその度に停止してまた次のページをセット・・・。
さらにメーターも壊れたので、距離はだいたいの勘で・・・。

あの時、路傍の東屋で止まったのは、休憩ではなくてマップの交換だったんだそうです。

しかし、マップ破れ、メーターも壊れたにもかかわらず、CPもSSも全てこなして、早々とゴールして鍋をつついている中尾さん、
あなたは偉大です!!

<今日の一言>
 今日は疲れたー!Zzzzzzzz。